事八日 物への感謝をする一日へ

 

「事八日」という言葉を聞いたことはありますか?

多くの方にとっては聞きなれた言葉ではないと思いますが、

使い終わった物や道具に感謝し供養する、そんな風習のことです。

 

2月ですと先日の節分や恵方巻が注目を集めがちですが、

事八日も立派な日本の古き良き年中行事の一つですので、

知っておいても損はないと思いますよ。

 

1.事八日って何?


事八日とは、原則2月8日と12月8日の年2回行われる年中行事であり、

事始め、事納め、八日節供、八日待、など地域ごとに異なる呼称があります。

※2月または12月のいずれかのみ行う地域もあります。

 

2月8日、12月8日共に、新たに事を始めたり、事を納めたりする日だとされており、

全国各地の寺社では、針供養や人形供養などの行事が行われます。

 

昔の人は、長い間大事にしていた物には「付喪神」という神が宿り、

粗末に扱うと祟りや災いが起こると信じていました。

 

そこで針供養(縫い針の供養)や人形供養、物忌などを行い、

妖怪や悪神を追い払い、恵比寿様・薬師如来様・大黒様といった神様を歓迎する、そんな一日を過ごす日が事八日なのです。

 

2.あまり見かけなくなった?


縫い針を感謝の気持ちを込めて豆腐やこんにゃくに刺して裁縫の上達を願う針供養や人形を奉納し供養する人形供養はもしかしたらあまり身近に感じないかもしれませんが、

都心から外れた民家の軒先、軒下にこういったものを掲げたり、飾ったりしてある光景を見たことはありませんか?

 

・目籠

・ハリセンボン

・蜂の巣

・ヨモギ

・山椒

・唐辛子

・ニンニク

・柊鰯(またはその頭)

 

 

筆者が知っているのはこれぐらいですが、

これらのものには魔除けの力があるといわれ、

それらを戸口、軒下、軒先に置のも、この事八日の風習の一つです。

もしかしたら地域ごとにまた異なるものを飾っているかもしれませんね。

 

3.大切なのは感謝の気持ち


あまり聞きなれない年中行事「事八日」について話してきましたがいかがでしたか?

 

供養や飾りなど色々話をしてきましたが、

始まりは自分のために働いてくれた物への感謝の日です。

 

物を乱雑に扱ってはいませんか?

壊すことでストレス発散するようなこともあるかもしれませんが、

恐らく知らない第三者がその姿を見たときには、あまり気持ちのいいものではないでしょう。

物への気持ちは他者へとも伝わるものです。

であるならば、

身の回りの自分を支えてくれている物たちへ、

「いつもありがとう」の気持ちを持つ日にしても良いのではないでしょうか。

 

物への感謝が人への感謝、気遣いへと繋がっていくといいですね。